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てけれっつのぱ!

悪口雑言罵詈誹謗録

漢字を忘れる理由

 Brian X.Chenの"ALWAYS ON"という本を読む。iPhoneの誕生からスマートフォンの普及によって広がった「ネット常時接続」によって社会がいかに変化したかというものだが、その中でこういう話があった。
 スマートフォンの普及などが原因で、中国や日本では漢字が書けない若者が増えている。The China Youth Dailyの調査では83%が漢字を書くことに問題を生じているそうで、それは、

because the constant use of keyboard-equipped computers and smartphones was making them forget the strokes learned through handwriting.

 

 

 パソコンやスマートフォンのキーボード入力の継続的な使用によって、手書きによって学ぶ(漢字の)書き方を忘れてしまうのだ、と。これは以前から言われていることで、私自身もそれを実感することが本当に多くなった。

 問題はここから先で、

Japanese and Chinese smartphone users type words in Pinyin, a phonetic system that uses the English alphabet and accent marks to represent the pronunciation of Chinese words, and software then automatically translates Pinyin into Chinese or Japanese characters.

 日本語や中国語でスマートフォンを使っている人は、文字を「ピンイン」でタイプする。これは読みを英語のアルファベットやアクセント記号で入力することによって、ソフトウェアが自動的に漢字に変換するのだ。

 

 

 「ピンイン」は中国語だけだろう。著者はアメリカ人であり、漢字を用いるアジアの国ということで混同しているのだと思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%B3%E9%9F%B3

 ただ、広く見れば漢字を出すためにアルファベットを打って文字を変換しているという意味では同じだ。

 例えば英語やフランス語、ドイツ語といったヨーロッパ言語の場合、それぞれのアルファベットをタイプすることで文章を書いている。これはキーボード上にある文字をそのまま打てばその通りに表示されるのであり、そのアクションにソフトウェアが介在することはない。
 あるいは韓国語の場合はキーボード上に子音と母音のハングル文字が分割して配置されており、それを組み合わせることで文字をつくってゆく。ここにも(文字を変換させるための)ソフトウェアが介在しない。
 ヨーロッパ言語や韓国語は、つまり「表音文字」ということになるのだろう。しかし漢字という複雑な大量の「表意文字」を長期間かけて記憶し、それを用いて言語を表現してきた人々の場合、その作業をすべてソフトウェアという「機械」に任せることになるのだ。つまりこれまでの人々が頭脳の中で行ってきた、漢字を拾い出し文字として書くという部分を、すべて「機械」に丸投げしてしまうということである。これでは漢字を書くという「機能」が退化して当然である。冷静に考えると、これは恐ろしいことではないか。
 本当にこれから先のことを考えるなら、パソコンやスマホなしでは漢字も書けないようでは困るのではないか。いわゆるローマ字入力といったものだって、今は主流かも知れないが、これから先はどうなるかわからないのである。
 例えば、パソコンどころか電気もないような環境で、何か文字を書かねばならない事態になったらどうするのか。情報管理はデジタルで、なんて格好つける前に、最低限自分の手で漢字が書ける能力は保持すべきじゃないのかと思う。